気仙沼りんごの誕生物語

【Part4】

ー 吉田果樹園さんの歴史を知りたいんですが

幸敏 品種にもよるんですけど、2週間くらい。
夏りんごって津軽あたりまでは2週間おいたらやわぐなっぺねぇ。

津軽っていうりんごは、もともと熟すとうんとやわぐなる。
だがらいかにして硬いりんごを作るのが難しいところ。

秋映はやわらかくなりにくい、
でも1ヶ月くらい経つとロウが出てくる。
りんごを触ると手が黒くなる。ロウが上がる。
(ロウ:りんごは成熟するにつれてリノール酸やオレイン酸などの脂肪酸が増えて、これが皮に含まれるロウ物質)

市場が本格的に始まった昭和28年に、果物一本した。
りんご、桃、梨の果樹農家になった。
親父が戦争から帰ってきてからね。

そのころで、うちの爺さんも昭和14年、
スターキングデリシャスって品種を植えた。

ー スターキングデリシャス!笑

幸敏 朝日、紅玉が主流だったんだけど。
スターキングデリシャスって、ハイカラな品種だよね。笑
んでも、当時は苦労したそうです、
直接の指導者もいないから。

だから、陸前高田にりんご作りの名人の方がいて通ったそうです。
その恩師に、いろいろ聞いて、学んだ。

ー 当時としては、苦労をすることを前提に、大勝負ですよね。

幸敏 そう、祖父になんでりんごの木を植えたのって聞いたら、
陸前高田で育つんだから、気仙沼でも育つだろうと。
でもあったげ(何度も何度も)恩師のところに通ったんだと思う。

麦畑の中にりんごを植えたって聞いた。
堆肥を取るためにほら、麦を植えた。
そこを掘り返して、りんごを植えたのが始まり。
りんごがなってお金になるまでは、
果菜を作ってたんだけどね。

ー そうですよね、植えてすぐお金になる訳じゃないから。

幸敏 今の苗木だと、2年りんごの実がなる、

ー えー!2年で。2年でどのくらい実がなるんですか?

幸敏 木1本に対して、1個か2個。

ー 1個!笑

幸敏 その代わり、1反分10アールに1000本植えるって。
うちらは一反分に130本くらい植えた。
だんだんに木が大きくなれば、間伐して、4、50本くらいになる。

普通はりんごがなるまで7、8年かかるんだよ。
その代わり、実がなり出したらすぐにうんと大きくなるのっさ。
相当実もなるんだけど。

木の寿命としたら2、30年なんだけど。
いいと思って植えても、ここの土地に合わない品種もあるし、
植えてみなければわからない。
パンフレット見てこれいいんでないかなぁって、
植えて育ててみても、お客さんの反応がよくなかったり。

ただ今は、新しいりんごは、
パテントかかるからっしゃ、特許ね。
勝手に増やしたりなんだりできないんだよ。

1本何万ってするんだからね。特許のかかったやつ。
特許のない奴は2、3000円。
10何年前、たかい奴使って植えたんだけど、
1本2万のさっぱダメだったこともあったなぁ。

ー 朝は何時に起きて仕事するんですか?

幸敏 ゆっくりっさ、だれ、老人になったもの。
ハッハッハッハ
後期高齢者だから。
本当はリタイヤしてゲートボールでもしてるんだけど、
そんな暇ないから。
毎日やってても追いつかないもの。

誰か、息子か娘でも跡継いでくれたら、
そんなことできんだけどっさ。
いまんとこ、別の仕事ついてっからね。
だからなんか、休みも取れないっていうから。

出来れば、定年なってリタイヤした後についでくれたら。。
んでも2人とも教員だから。
部活とかなんとかで土日も休み無いって。
1年に何日も休み無いからね、
働き方改革でも早くやればいいのにね。

ー あと10年くらいかかりますか?

幸敏 いまどこでも後継者ないからっさ。ん〜。

ー そうですよね。

幸敏 まぁ、ここで。農家だけで、
生活している人は数えるくらいしかいないよ。
俺も農業統計の調査すんのっさ。そうすっとね、
しばらくやっててわかるんだけど、
5年経つとガラッと(農家)いなくなんのっさ。

一番最初に始めた頃は70何軒あったのに、
前回はその半分になってしまった。
そのくらい廃業した方がいるってこと。やめる方が多いのさ。

正子 小林屋敷ね。(※吉田さんの近くのコヤマ菓子店の親戚)

ー はい。その30年前は、周りの人は全部農家。
牛がいたり、ビニールハウスがあったり、
しばらくぶりに行ったら、牛もない、ビニールハウスもない、
その代わりアパート建ってるし。

幸敏 今は、農家は働き手が少なくて、
機械揃えなくて仕事ができない。今機械はものすごく高い。
コンピューターが組み込まれてるからね。

金額が上がって、その分を稼ぎ出すには、
他の人の畑をやったりして、お金を稼がないと、
機械の支払いができないのっさ。

田んぼの人は大変だべなぁ。

本当に、田植えって言っても2、3日だすぺわ、
稲刈りだって、1週間やらねぇ、4、5日だもの。
それでその間、機械が動くの3日4日だもの。

そのために何百万、何千万、という機械買うんだからっしゃ。
投資はしてるべねぇ。
農機具屋さんにお金払うのは大変なんだべなぁ。

ー あ、すみません、2、30分と言って、
もう1時間も!長い時間ありがとうございました。
最後に、農園で写真を撮らせてください。

(インタビュー終わり)

ー エピローグ

インタビューを終えて

実はお二人にはまだまだ面白い話を聞いてたんです。

例えば、りんご農園での出来事。りんごを撮影していたら、足元をすごい勢いでかけていく動物がいてびっくりしました。おおお!と思わず声をあげてビックリ。なんと野生のキジです。キジが猛スピードで走り抜けました。話を聞いたら、カラス除けになってるって。キジがカラスを追っ払うんですね。飼っているわけでなく、キジは落ちたりんごを食べたりして、勝手に居着いてるそうで。めっちゃ良い関係ですね。昔は鉄砲でキジ獲りに行ったとかなんとか。

その他、地域の子供達がりんご狩りに来る話や、これからの吉田果樹園の話。

ただ、残念なのはインタビューまで収録してコンテンツにしたのに、現在、吉田果樹園さんのりんごを使ったアップルパイは好評のまま販売終了になっています。読んで食べたくなった方すみません!

でも、また今年の秋、美味しく実った吉田果樹園さんの気仙沼りんごを使った特別なスイーツを販売したいと思います。どうぞお楽しみにしてください。

その時は、新たに取材し直して、りんご物語第2部も作ろうと思います。まだ直接確認していませんが、奥さんの正子さんの実家は、うちのぼくのひいおばあさんの実家とか?あるいはその親戚とか?もしかしたら親戚?不思議なご縁かもしれません。これも気仙沼あるあるです。

終わり