大島のブルーベリー物語

〜大島の村上英夫さん礼子さん夫婦のお話〜

2020年7月にコヤマ菓子店に一本の電話がきました。大島ウエルカムターミナルでブルーベリーを販売している村上さんという方からです。初めてお電話いただいたんですが、「コヤマ菓子店でブルーベリーを使わないですか?」という内容でした。“とてもいいご縁”と思い、即決で『使いますっ!!』と応えました。翌日に届いた大島産のブルーベリーは新鮮でとっても美味しいものでした。翌日に村上さんの農園へインタビューしてきたものをお届けします。

このうみねこマガジンは「気仙沼のりんご物語」に続く第二弾になります。

コヤマ菓子店では「美味しいの“その先”を創ろう!」をコンセプトに、お菓子にまつわる生産者さんや、職人さん、地域にスポットを当てて深掘りすることで、付加価値として商品に詰め込み、お客様に喜んでいたこうと考えています。

たった一つのお菓子のその先に、人のあたたかみや、土地のユニークさ、見えない魅力をたくさん感じて、美味しさを味わいながら、ほっこりしてもらうのが趣旨です。

素人が写真撮影、インタビュー収録、文字起こし、編集、全部ひとりでやるものなので、そこらへんはご容赦ください。
店頭でお配りしている読み物の「うみねこ新聞」と合わせて、ぜひこちらのウミネコまがじんもチェックしてみてくださいね。

インタビューは7月13日、梅雨空の気仙沼大島、午後3時、村上英夫さん、礼子さんご夫妻のご自宅でインタビューさせて頂きました。

<インタビュー>

礼子 いただきものですけど、、

(お茶とお茶請けを出していただく)

ーあ、すみません、ありがとうごいざます!

(パシャパシャ)

礼子 あ、そんなものまで撮るの??

ーハハハ、そうなんです。汗
改めましてよろしくお願いしまーす。

夫婦 よろしくおねがいします

英夫 今回は(取引)ありがとうございました。

ーいえいえ、こちらこそです!たいへんありがたいお電話でした。ぼくも、地場の産品を使ったお菓子を販売したいと常に思っていたところです。出来れば地域全体が注目される仕組みみたいなものを作りたいなぁって。

英夫 確かにそういうの出来たらいいですよね。

ーはい!続けていけばいい形になると信じてやっています。

英夫 私は農業は素人なんです。3年前65歳で定年になって、大島にもどって農業を始めたんです。しかもまだまだよくわかんなくてね。

ーはい。

英夫 それでも。自然農に憧れていて。

ーお〜。

英夫 化学肥料じゃなくて、自然の力で作物を作っていく。憧れでやってみたものの難しくて。なかなか思うように行かないですね。笑

ーでもすごい!こちらにきて三年目ですもんね。
気仙沼に戻る前は何をされていたんですか?

英夫 最後に働いたのは県の土木事務所ですね。用地買収の仕事をしていました。

ー用地買収!それは大変な仕事ですね!めんどうなやつ。笑

英夫 笑

英夫 その前にやっていた仕事は、、JA共済ってわかります?

ーはい。わかります。

英夫 そこにいたんですよ。

ーなるほどー。そのときご実家はお父様が農業を?

英夫 そうですねぇ、半農半漁といいますか、親父はもう96歳で。3年前に両親の介護をしようと帰ってきたんですが。いろいろあって、両親は唐桑の姉のところで暮らしているんですが、昨年の11月に母親が亡くなってしまって。。

ーそうなんですね。じゃあ、お父さんから直接農業を教わったことはないんですか?

英夫 実は畑はもっぱら母親がしていました。

ーえ?!そうなんですね。

英夫 親父は主に海の仕事をしていました。魚獲ったりしていました。ブルーベリーを手伝ってた以外は見たことなかったです。野菜作りも一切したことなかったんじゃないですかね。

ーなるほど、そうなんですね。現在は、メインはどのような作物を作ってらっしゃいますか?

英夫 メインというかブルーベリー以外は自分の家で食べる分だけ作っています。トマト、ナス、キウイとか。オクラはたまたま種が残っていたので、20本近く植えたんですよ、これはウエルカムセンターに持って行こうと。そのくらいですね。

ーなるほど、はい。

英夫 かぼちゃ、サツマイモも余れば、ウエルカムセンターに持って行こうと思います。でも基本自家消費ですね

ーはい。

英夫 今年はそのような感じですが、来年は下の畑をもっと使おうかと思っています。広い畑があるんですよ。

英夫 今は草ボーボーの荒地。昔は、大豆、麦、じゃがいもを作ったんですけど。それをやるとなると、、仕事が大変だな。笑

礼子 今まで畑仕事したことない人がやったら大変よ。笑

英夫 サツマイモは、毎年同じ畑に植え続けた方がいいということで作るけど、果樹をどうしようかなぁって。野菜面倒くさいから。果樹を植えて。笑

ーへー。基本独学ですか?

英夫 独学というほどでもないですねぇ。本は見ていますが。笑

ーたくさんありますね!

ー近い将来の目標みたいなものはありますか?

英夫 いずれ年金生活者ですので、農業を大きくして食べていくというよりは、安心安全なものを自分の家で食べていければそれで良いと思っています。

ーはい。

英夫 で、少し余ったらウエルカムセンターで販売して、美味しく食べてもらえればと思っています。

ーはい。

英夫 そんなにがむしゃらに農業する訳じゃないんです。

ーなるほどー。いいですね。

ー奥さんはどちらご出身ですか?

礼子 東京です。

ーおおお、東京出身なんですか?すごい。え、じゃあ仙台で知り合ったんですか?

英夫 たまたま長期間研修で東京に行ってて、

ーええ。

英夫 そんとき、まぁ、偶然出会ったって。笑

ーえ〜すごい、そうなんですねー。いやぁ、なんと、いいですねー。うん。(ぼくもそういう出会いがあれば、、なんて。笑)

ーちなみにうちの母親も東京なんです、親父が東京の大学で一緒で、連れて帰ってきて。

英夫 ああ、そうなんですか。でも、お父さんかなり上でしょ?私昭和27年生まれで。

ーあ、父は26年生まれです。

英夫 そうなんですね、じゃあ、気仙沼高校の1こ上?会ってるかもしれないですね。笑

ー趣味はありますか?

英夫 畑作りが趣味ですね。

ーいいですね。気仙沼人から見ても大島は自然が豊かですもんね。

英夫 橋が出来てだんだん変わってくるんじゃないですか。

ーそうですね。

英夫 200海里の規制が出る前は、大島はもともと漁師さんが多くて、3年も船乗りをしていれば家が建つっていう時代もあったそうで。島も豊かで羽振りが良かった。200海里規制で人口が減っていった経緯もあります。とは言っても、私は大島を離れて見ていたんですが。笑

英夫 大島に帰ってきたのは3年前でそんなに知り合いは多くないんですよ。一種のよそ者ですね。ハハハ。

ー自然農法にこだわっている理由はありますか?

英夫 やっぱり体に良くないですし、生き物殺して、人体にも自然にも良くないので、農薬は使わない。化学肥料もあまり使いたくなくて、米糠とか、鶏糞とか、堆肥とかでやっていきたいなぁと思っています。

英夫 自然農法を本当に成功している人は、米糠や、堆肥も要らないっていうんですけど、それが出来るのは100年後になるんでしょうか、夢のまた夢ですが、近づければ良いかなぁと思っています。

ーぼくも農業は全く知識がないんですが、大変なのはわかります。

英夫 労多くして功少なし、ですね。スーパーで売っているような人参でも大根でも、ああいうふうに綺麗に作るのは相当な技術だなぁと思っています。苦労して、工夫して作ってらっしゃるんだなぁって。

ー土地の広さ的にはどのくらいですか?

英夫 全部合わせると1町歩(約1000坪)くらいあるんじゃないですか。

ー広いですね。

英夫 もう、草刈りが大変です。

ー今は、ブルーベリーで他にお菓子に使えそうなものはありますか?ジャムでも良いですけど。

英夫 いちじくとか、くるみ?くるみはそっちこっちにくるみの木があります。拾うと結構な量になります。

ーはい。

英夫 ジャムで言ったらキウイフルーツとか。

ーなるほど!ブルーベリーの旬はいつですか?

英夫 ちょうど今頃がピークで6月末から7月下旬ですね。

英夫 うちは7月の25日、26日くらいでおわりかなぁと思っています。

ーキウイの旬はどんな感じですか?

英夫 11月かな、霜が落ちる前に採るんです。でも、採ってもすぐには食べられなくて、りんごと一緒に置くと熟します。放ったらかしにしておくと2月3月まで固いままでいますね。

英夫 去年は採るのが大変なくらい実ったんですが、今年はダメだね。

ー天候の影響ですか?

英夫 わからないです、天候の影響かなぁ。あ、代わりに、いま桃が一個できています。笑

英夫 プラムも植えたりしました。あと、梨でも植えようかと。

ーなるほど、来年ですね。

英夫 そう、あと、ブルーベリーを少し増やすか、それともいろんな種類の果物を下の畑に植えて、くだもの畑にしちゃうか。

英夫 ぶどう作って、桃がなれば。

ーすごいですね!

英夫 あとは、ゆずか。

礼子 生きてる間にね。笑

英夫 ハッハッハー

英夫 あと、梅で去年自家製の梅酒作りました。

英夫 梅酒は置けば置くほどまろやかになるって聞いたんで、2、3年熟成させてみようかと。

ーいいですね!

ーご先祖は農業ですか?昔は半農半漁が多かったと聞きますが。

英夫 ご先祖様はどうなんでしょう、伝え聞いたところによると、うちはじいさんのじいさんっていう人が、網元やっていてたそうなんですよ。ふかひれの材料かなんか提供していたと聞いたことがあります。

ーへ〜何年前くらいですか?

英夫 明治の中頃なのかなぁ。そして、昔は百姓もやっていたんですかね。父は魚捕ったり、海苔の養殖をやっていました。

(海苔の加工場)

(海苔を乾燥させる枠)

(海苔を干す機械)

ー歴史を感じますねー。

英夫 自宅裏からすぐに海です。

(玄関から歩いて30秒で海!)

英夫 夕日が綺麗なんです。

英夫 目の前は要害漁港です。

(要害漁港)

(自宅敷地内にたくさんの植物が見つけられます)

ーこういう海と山が味わえる自然の中で出来る作物は本当にいいもんですねー。

ー最後に記念写真を。

ー今日はインタビューありがとうございました!

<取材を終えて>

普段、我々はスーパーに並んだパック詰されたブルーベリーしか見ていません。当たり前にあるのではなく、生産者さんが一生懸命育てているから、新鮮で美味しくフルーツを食べられるんだなぁと改めて感じました。村上さんは、さらに無農薬で育てていて、本当に価値のあるブルーベリーだと思いました。

成熟した実をひとつひとつ収穫して、

縁側で選別して、

毎日パック詰作業。

すずめが食べた跡。

すずめが自由に網の中に入って食べてます。

目に見えない手間と心遣いがあると思いました。

そんな村上さんが育てたブルーベリーをコンフィチュールにしました!
採って2日以内の気仙沼大島産無農薬ブルーベリー100%使用。
お菓子屋さんが本気で作ったコンフィチュール。

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